「コンタクト・トレーシング(接触追跡)」とは?ITでの利用?

「コンタクト・トレーシング(接触追跡)」とは?ITでの利用?

こんにちは、セブテク編集部です。
日本では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として実施されていた緊急事態宣言が 4月7日から約7週間後 の5月25日に解除されました
少しずつ、みなさんがコロナ危機以前の日常を取り戻そうとしているのではないでしょうか。

そんな中、今後起こるかもしれない感染の第二波、第三波によって感染者が拡大することを防ぐため、「コンタクト・トレーシング(接触追跡)」と呼ばれるプロセス(アプローチ)が世界中の様々な場所で採用されています。

今回は、「コンタクト・トレーシング(接触追跡)」とは何かについてご紹介したいと思います。

コンタクト・トレーシング(接触追跡)とは

コンタクト・トレーシング(接触追跡)(以下、コンタクト・トレーシング)とは、感染が疑われる、もしくは感染が確認された患者を追跡し、サポートするためのプロセスの一部です。

集団感染を減らすことを目的としているため、WHOや厚生労働省などの公衆衛生機関がコンタクト・トレーシングを感染症の対策として用いることもあります。

コンタクト・トレーシングが一般的に行われる疾患には、結核やはしかのようなワクチンで予防可能な感染症に加え、性感染症、血液感染症、細菌感染症、そして新規感染症(SARS-CoV, SARS-CoV-2, COVID-19など)があります。

一昔前に世界中で流行した天然痘(日本では1955年に撲滅)も優れたワクチンがありながらも、医療体制が整っていない発展途上国や人口密集地においては、撲滅することが困難な感染症でした。

中でも最も天然痘患者が多かったインドでは、1967年にWHOが天然痘患者の発見者に賞金を与え、天然痘患者が発見されると、その発病1ヶ月前から患者に接触した人全てを追跡、対象として集中的に予防接種(種痘)を行いました。ゆえに、コンタクト・トレーシングのプロセスを経たことで集団感染、感染拡大を防ぐことができたと言われています。

参考: Wikipedia : Contact tracing, 天然痘

コンタクト・トレーシングの一例

公衆衛生機関によって行われるコンタクト・トレーシングの一例(ステップ)を紹介します。

  1. 公衆衛生機関は、患者(感染者)と協力して感染した可能性がある期間に密接に接触した全ての人をヒアリングする
  2. 公衆衛生機関は、ヒアリングした情報を基に感染の可能性がある人に感染の可能性を迅速かつ慎重に警告する
  3. 公衆衛生機関 は、患者のプライバシーを保護するため、感染の可能性がある人には患者に接触した可能性があることのみを通知する、患者の身元は知らされない
  4. 感染の可能性は、他の人から自分自身を隔離するために何をすべきか、感染が拡大する可能性がある旨を理解するための教育や情報提供、サポート等がされる
  5. 感染の可能性がある人は、自分自身の体温や体調をチェックし、感染病の症状が出ていないかを監視、また公衆衛生スタッフによるヒアリングがされる
  6. 症状を現れた場合には公衆衛生機関への通知する

コンタクト・トレーシングのITでの利用

コンタクト・トレーシングのプロセスがITへ利用されているケースとして、2020年5月20日にAppleとGoogleが新型コロナウイルス感染症対策の接触確認アプリに組み込むAPI、「Exposure Notification API 」の公開と提供を開始しました。 ※英語の原文はこちら

今後このAPIを利用してリリースされるアプリの中で、どのようにコンタクト・トレーシングのプロセスが実現されるかは未知ですが、APIは公衆衛生機関が利用できるとのことです。

また、APIは、プライバシーの観点から名前や住所、電話番号などの個人情報を取得をしない、Bluetoothによる近距離通信を利用し接触者を検知するため、位置情報の取得もしません。さらにAppleとGoogleによる共同開発のため、AndroidとiOS搭載の端末上で動作が可能です。

日本では、厚生労働省がこのAPIが組み込まれた「接触確認アプリ」を開発中で6月中のリリースを目指しています。
その他にも大阪府がリリース予定の「大阪コロナ追跡システム」、民間のJX通信社が提供している「News Digest」など、コンタクト・トレーシング系のアプリの開発活動が活発になっています。

まとめ

新型コロナウイルスの注目度が高いこともあり、 コンタクト・トレーシング 」が今後どのようにIT分野で活用されていくのか気になるところですね。日々のニュースからチェックをしてみてください。

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